今年いちばん話したことば、アクリルブロックかもしれない。
アクリルブロックとかの話。
https://twitter.com/shikakun/status/1020846997836742658
今年、SUZURIから新アイテム2つ(アクリルブロック、吸着ターポリン)がリリースされた。 リリースしたあとしばらくバタついてて書けなかったので、色々思い出しつつ書く。先日コーチジャケットがリリースされて調子よく売れてて良かったと思う、けど今年を振り返ると、アクリルブロックのほうが強く記憶に残っていたので、それについて書く。
アクリルブロックの元々のきっかけは、天久聖一さんとよシまるシンさんの二人が開催していた「ロゴゴ展」というイベントで、それは2016年8月、もう今から2年以上も前になる。確か会社を早退して行った気がする。展示されていたアクリルの物体はキラキラしていて、覗き込む角度によって見え方が違って最高にクールだった。
手に持つと冷たくて固くて、重かった。
用途とか意味を探るよりも前に、それはあるだけで良くて、かっこよかったし、SUZURIでもアパレルだけじゃなくて、質量のあるモノを作れるようにしたいと思った。
そこから加工ができそうなモノを探してきては、工場とプリントのテストを重ねる。結構難儀だったと思う。正直、アクリルキーホルダーであればもう少し簡単だったかもしれない。途中「価格帯も安いし、アクキー出そっかな」とかも考えたけど、やめた。アクリルブロックを知らなかったら出してただろうけど、知ってしまってからは、ユーザーが驚くのはアクリルブロックだと確信していて、だからやめた。
と、書いたけど本当は自分がアクリルブロックのほうが面白いし魅力に感じていたからだと思う。
この後、コストの問題があったりしてガラスでテストプリントしたり迷走する時期に入る。その後、やっと良さそうなアクリルを工場が見つけてきてくれて、プリント加工もいけそうとなった。この時点で実はもうひとつのアイテム(吸着ターポリン)は、工場が「面白いもの見つけました」って提案してくれていて、1年間くらい社内の壁で吸着のテストをしていた。ウラ面を濡らしたり、いろんな素材の壁に貼ったりした。で、せっかくなら分けてリリースするんじゃなくって、2つの変わったアイテムを同時リリースしたらいいかも、となって、このアイテムの魅力を最大限活かしてくれそうなクリエイターさんに声をかけさせてもらった。
最高の11名に協力してもらえたと思う。
普段グッズ制作や販売からは遠いところにいるようなクリエイターさんに声をかけた。
「このアイテムでオンデマンドグッズ作成サービスのイメージを変えたい、だからそのために力を貸してください!」みたいな熱量でお誘いをした気がする。本当にいい方たちばかりで、色校、再作成も何度も快く受けてくださった。上がってくるラフや入稿データは僕たちの想像を遥かに凌駕するもので、デザイナーの putchomと毎回興奮していた。ぼくらもそれに応えるモノを作ろう、みたいなことを話していたと思う。
お声がけしたクリエイターさんたちからの期待値もありがたいことに良い感じで、それがモチベーションになったし、残業中に何度も救われた。
MAR M-001 / NET SHOP BOYS ( ninesan )の吸着ターポリン通販 ∞ SUZURI(スズリ)
並行してSUZURI側では開発を行っていて、開発全般を(yuta25)が、UI部分とサムネイル、それから特設サイトを(putchom)に作業してもらった。特に2人が時間をかけて作ってくれたサムネイルのこだわりがすごくって、jpg1枚アップロードするだけで、こういうサムネイルができあがる。正直買わなくても、たくさんサムネイルを作るだけで楽しいと思う。
明くる日 / つねになにかを売る店 ( millitsuka )のアクリルブロック通販 ∞ SUZURI(スズリ)
Tシャツのシワの質感もそうだけど、サムネイルの面白さが作成後の高揚感に直結してるのは間違いなくて、作成者は行為としてはjpgをアップロードしただけなんだけど、「すごいモノ」が出来上がった感、作れた感じを体験することができる。この体験は毎日SUZURIを触っていても、新アイテムを追加するたびに未だに感じる。商品の合成がされるとき、なにかが宿る瞬間だと思う。
サイトのこだわりやサムネイルについての裏話は putchom の記事に書いてある。
印刷方法もプリンターの設定も決まって「行けるぞ!」となったあとでも、入稿してもらったデータで出力してみると想定していなかった出力物ができたりして、何度もデータの修正とプリンターの調整をおこなった。
色の出力が難しくて、数パターン濃度を変えたデータをもらってテストプリントを繰り返した。
そこから何度かプリンターの調整などを経て、リリース予定日からはだいぶ遅れてリリースされた。いくつかの媒体に取り上げていただけたこともあったりして、新規登録数のベースがリリース後に1.5倍増えたり、初めてのインテリアアイテムで不安だったが、売上も好調だった。
数字の話はいいや、
オンデマンドグッズ作成サービスって山程あって、どこも結構同じような価格帯で提供している。Tシャツ、トートバッグ、それからiPhoneケースなどは基本の機能として備わっていて、どこで作ってもそれなりのモノが作れてしまう。 作れるものもだいたい同じ感じになりつつある。
だからこそ、今回作りたかったのはそういうモノではない「なにか」で、グッズ感がないモノだった。イラストのままであれば作品なんだけれど、それをスマートフォンケースとして出力すると「グッズ」になる感じがする。イラストを別の形として出力しても「作品」として保たれるようなモノを今回は出してみたかった。
このアイテムを出した当初(8月ころ)、6人程度だったチームも今では体制も大きく変わり30人弱とかの組織になった。これからアイテムをリリースするペースや頻度も上がるかもしれない。ただ、アイテムひとつ取っても「SUZURIらしさ」みたいなものについては考えていきたいし、僕たちのカッコいいと思う「モノ」で2019年、ブチかましていきたい。
この記事は 2018 Advent Calendar 2018 の19日目の記事として書かれました。
18日目は dannna_o さん、20日目は nuca.ata さんです。